「この病院、ホームページが10年以上前から変わっていないのに、なぜ検索で一番上に出てくるのだろう?」ホームページを持つ方なら、競合調査していると一度はそんな疑問を持ったことがあるのではないでしょうか。
実際に検索順位を調査していると、「更新が止まっている」「ページ数が少ない」「外部リンクが乏しい」など、一見SEO的に不利に見える古いサイトが、検索結果で上位表示され続けているケースに出会います。特に地域密着型の医療機関(産婦人科や内科など)では、その傾向が顕著です。
では、なぜこのような古いサイトが検索上位に残っているのでしょうか?本記事ではその理由をひも解きつつ、これからでも実践できるSEO対策を具体的にご紹介します。
Googleは検索するユーザーに「最も役立つ情報を、最も信頼できる形で届けること」を目的としています。 そのため検索順位を決める要素は数百にも及びますが、大きく分けると次の3つが重要です。
検索キーワードに合った内容がわかりやすく掲載されているか。
その分野で専門性があるか、長く地域や業界で評価されているか。
スマートフォンでも快適に見られるか、正確な住所・診療時間・連絡先が掲載されているか。
POINT
これらの要素は「最新の情報が更新されているか」だけでは判断されません。 むしろ、長年にわたり地域で信頼を積み重ねている医院や店舗は、更新が少なくても「信頼性が高い」とGoogleに評価されるケースがあるのです。
Googleは、このような信頼性を含めて複数の観点からサイトを評価しており、その代表的な基準が6つ存在します。 地域密着性の「ローカルSEO」はもちろん、「情報の正確性」「権威性」「利便性」などを組み合わせて総合的に判断し、検索順位に反映しているのです。 以下では、その6つの要素について順に解説していきます。
たとえばお子さんが急に熱を出したとき、多くの方はスマートフォンで「近くの小児科」と検索しますが、検索結果にはまず地図と一緒に医院リストが表示され、口コミや写真を見て候補を選ぶ。そんな流れが当たり前になっています。
このように「地域+サービス」で検索したときに、地図や検索結果で上位に表示される仕組みをローカルSEOと呼びます。
通常のSEO以上に「地域で信頼されているか」「正確な情報が整っているか」が重視されるため、古いサイトでも検索上位に残り続ける大きな理由となっているのです。
NAP情報(名称・住所・電話番号)の一貫性
公式サイト・地図・口コミサイトで情報がズレていない写真・院内イメージの充実
清潔感や設備が伝わりやすい口コミ・評価の蓄積
患者からの信頼性を示す社会的証明定期的な投稿更新
診療時間変更や健康コラムなどを発信このツールを通じて、検索や地図画面ですぐに「お店や医院の情報を確認でき」、迷うことなく問い合わせやアクセスに繋がる導線が最適化されています。
また、Googleビジネスプロフィールは投稿やGoogleの他の情報と連携しながら掲載内容が表示されるため、定期的に更新し、正確さを保つことが信頼性の高い情報発信に繋がります。 実際、スマホでローカル検索したユーザーの約76%が1日以内にその店舗を訪問し、28%が購入に至るというデータもあり、「今すぐ行動」の誘導力が明確です。
出典元:Google / Purchased Digital Diary “How Consumers Solve Their Needs in the Moment” (2016)より
https://www.thinkwithgoogle.com/marketing-strategies/app-and-mobile/how-mobile-search-connects-consumers-to-stores/
POINT
Googleビジネスプロフィールは、ローカル検索において“目立つ存在”になるための最も基本的かつ影響力の高い施策であり、無料ながらSEOとユーザー導線の強化を同時に実現できる重要な要素です。
ローカルSEOで高評価される要素(口コミ・写真・地域での認知度)は、まさに「E-E-A-T」(Experience・Expertise・Authoritativeness・Trustworthiness)の各要素と直結します。
Googleが「検索品質評価ガイドライン」で重視する指標で、2022年12月に刷新された概念です。以下4要素で構成されます。
Experience(体験)
実際にそのサービスや治療を提供してきた実績・体験の裏付けExpertise(専門性)
専門家としての知識・専門領域Authoritativeness(権威性)
第三者からの評価・認められた地位外部・リンクによる権威づけTrustworthiness(信頼性)
内容の正確性や口コミ、透明性出典元:General Guidelines Jabuary 23, 2025より
https://static.googleusercontent.com/media/guidelines.raterhub.com/ja//searchqualityevaluatorguidelines.pdf
Googleは医療系のサイトを「YMYL(Your Money or Your Life:人生や生活に大きな影響を与える情報)」と分類し、特に厳しい評価基準を設けています。 その中心にあるのが先ほどお伝えした E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性) です。
たとえデザインが古いサイトでも、以下のような情報が充実していれば、検索評価は高くなることがあります。
医師プロフィールに資格や経歴、所属学会が明記されている
診療実績や専門外来の情報が掲載されている
患者さんの疑問や不安に直結するページが存在する(例:「不妊治療の流れ」「初診の手順」)
では具体的にどのようなことをすれば良いか、以下の工夫が効果的です。
医師紹介ページを充実
資格、経歴、学会所属をわかりやすくまとめる患者視点のコンテンツ追加
初診の流れ、よくある質問、検査や治療のステップなど専門性を示すページを設置
不妊治療、女性医師による診療、認知症外来など、強みを打ち出すテクニカルSEOとは、検索エンジンがサイトを正しく認識し、スムーズにクロール・インデックスできるようにするための技術的な最適化を指します。 主に以下のような項目が含まれます。
これらが揃っていることで、Googleは「ユーザーにとって利用しやすいサイト」と認識し、評価をプラスにします。
「古いサイトはもう時代遅れだから評価されないのでは?」と思われがちですが、実際にはそう単純ではありません。なぜなら、テクニカルSEOの基礎はウェブの歴史のなかで大きく変わっていないからです。
ページ構造がシンプルで、検索エンジンにとって理解しやすい設計になっているサイトは、最新のデザインではなくても十分に高い評価を維持できます。また、表示速度が速く、無駄なコードや画像が少ない古いサイトは、むしろユーザーにとって快適な場合すらあります。さらに、適切なHTMLタグの使い方やモバイル対応がある程度整っていれば、それは今も変わらずGoogleに好まれる要素となります。
その典型的例を挙げると、ネット上でたびたび話題になる「阿部寛さんの公式ホームページ」は、まさにその象徴的な存在です。デザインは一見すると90年代のように素朴で、最新のサイトと比べれば華やかさはありません。しかし、ページ構造は非常にシンプルで、無駄な装飾もなく、テキスト情報が検索エンジンにとって非常に読み取りやすい状態に整っています。その結果、役者・阿部寛に関連する検索では、長年にわたり安定して上位に表示され続けています。
つまり、古いか新しいかという見た目の印象よりも、「基本的な作りがしっかりしているかどうか」が長期的な評価を決めるのです。更新頻度やデザインの新しさが劣っていても、土台の部分に不備がなければ、Googleはその信頼を簡単に失わせることはありません。
一方で、テクニカルSEOは時代の進化に合わせた見直しも必要です。改善のポイントを挙げると
モバイル最適化チェック
・端末画面内に適切に表示するようビューポートの設定を正しく行う
・小さな文字やボタンの押しにくさを解消する
表示速度の改善
・画像をWebP形式に変換する(ファイルサイズの軽量化)
・不要なプラグインやスクリプトを削減する
セキュリティ強化する
・SSL対応(https://で始まるURL)する
・定期的なCMSやプラグインのアップデートを行う
構造化データの活用
・医院であれば「診療時間」「所在地」「レビュー」などをschema.orgでマークアップする
・Google 構造化データテストツールで確認する
内部リンクとサイトマップ整備をする
・ユーザーもGoogleも迷わないように論理的なサイト構造に整理する
POINT
テクニカルSEOは「土台作り」。一度整えておけば古いサイトでも評価を保ちやすく、逆に欠けているとどれだけ新しいコンテンツを作っても成果が出にくい部分です。
SEOにおいて「外部リンク(被リンク)」は昔から大きな評価要因の一つです。ただし単純に数が多ければよいのではなく、そのリンクがどのような信頼関係の中で貼られているかが重要です。
例えば、同業他社や地域とまったく関係のない海外の低品質なディレクトリサイトからのリンクが大量についていても、Googleからの評価はほとんど得られません。むしろ場合によってはスパム的な扱いを受けることもあります。
一方で、地域に根ざした新聞社のWEB記事、地元商工会議所の会員紹介ページ、地域のイベント公式サイトなどからのリンクは、単なる被リンク以上の価値を持ちます。Googleは「その医院や会社が地域社会の中で認知され、信頼されている存在か」という観点で外部リンクの質を評価するからです。
古い医院や企業サイトの中には、長年の活動を通じて地域の公式団体やメディアから自然にリンクが集まっているケースがあります。そうしたリンクは年月が経っても価値が薄れることはなく、むしろ「歴史の証拠」として安定的にサイトの評価を支え続けます。たとえば開院から長く地域新聞に掲載され続けている医院であれば、その記事ページから貼られたリンクは今も強い信頼の証となるのです。
一方で、テクニカルSEOは時代の進化に合わせた見直しも必要です。改善のポイントを挙げると
POINT
こうした「地域に根ざした外部リンク」を積み重ねることで、検索エンジンは「この医院(会社)は地域で認知されている存在だ」と判断し、検索順位に反映してくれるのです。
検索結果で上位表示されるかどうかは、自院(自社)の努力だけでなく、「競合のレベル」にも大きく左右されます。SEOは絶対評価ではなく、あくまで相対評価だからです。
たとえば、ある地域で医院や店舗が複数存在するとしても、競合が十分なSEO対策を行っていない場合、自院のサイトが大きな投資をしなくても上位に表示されるケースがあります。これは「検索エンジンが適切な情報を見つけられないとき、より分かりやすく整備されたページを優先的に評価する」ためです。
古いサイトでも、ある程度の基本情報(医院名・住所・診療科目・診療時間など)が整理されていれば、それだけで競合よりも有利に立てることがあります。特に地方や特定診療科のように競合が限られる分野では、更新が少ない医院サイトでも1位を維持している事例は珍しくありません。
逆に、もし競合が本格的にSEO対策を強化すれば、その順位は一気に入れ替わる可能性があります。つまり、「競合が動かない間は楽に上位にいられるが、動き出した瞬間に差がつきやすい」のがSEOの特徴です。
自院のSEO対策を考える際には、常に「地域内の競合がどの程度対策をしているか」を確認することが重要です。
このような「競合の弱さ」を把握できれば、過度な投資をせずとも、自院が優位に立つ戦略を選択できます。 この「競合不足」という要素は、表向きには気づきにくいですが、実際には順位を左右する大きな要因です。地域での立ち位置を正しく把握することが、ローカルSEO成功の近道になるのです。
例えば、「埼玉県全体」という広い範囲でSEOを考えると、競合は非常に多く、各医院や店舗もさまざまな対策を行っています。そのまま広域で戦うと上位表示は難しくなります。
一方で、「さいたま市岩槻区」や「岩槻区 不妊治療」といった、よりニッチで具体的な地域・サービスを対象にキーワードを絞れば、競合は自然と少なくなり、戦いやすくなります。こうした目線を変えた戦略(ロングテールキーワードの活用)を取り入れることで、少ないリソースでも上位表示を狙いやすくなるのです。
検索結果を決める「Googleアルゴリズム」は、単なるキーワード一致ではなく、膨大な要素を組み合わせてサイトを評価しています。その中で「古いサイトが上位に残る理由」として、次のような特性が考えられます。
長期間安定して運営されているサイトは、「信頼できる情報源」としてGoogleに評価されやすくなります。とくに医療や地域情報のように専門性や生活密着性が重視される領域では、この傾向が強まります。
古いサイトは長年にわたり、地域の関連機関や口コミサイトなどから自然なリンクを受けているケースが多く、これが「権威性」の裏付けとなります。
検索ユーザーが長年そのサイトをクリックし、一定の滞在時間を持って利用していると、Googleは「ユーザー満足度が高い」と判断します。結果として新規サイトよりも上位を維持しやすくなります。
Googleアルゴリズムとは、検索エンジンがウェブページを評価・ランキングするために用いる自動化された仕組みです。ページの内容、関連性、使いやすさ、信頼性などを数百以上の要因で判断し、ユーザーにとって最適な検索結果を表示します。
この点についてGoogle自身も次のように説明しています。
Google のランキングシステムは、何千億ものウェブページから最も関連性の高い、役立つ情報を見つけ出し、ほんの数分の1秒で返すために設計されています。
出典:Google 検索セントラル「Google 検索ランキング システムのご紹介」https://developers.google.com/search/docs/appearance/ranking-systems-guide?hl=ja
つまり、アルゴリズムは「誰にとって有益か」を基準に順位を決める仕組みであり、単純に「新しいかどうか」だけでは評価されないのです。
長く使われている安心感
古いサイトは「長年残っている=安心できる情報源」と見なされやすい。安定して評価されている強み
Googleは急に順位を大きく変えず、長く役立っているページを安定的に評価する傾向がある。バランスの取れた評価
派手に強い部分がなくても、全体的に「合格点」を維持しているサイトは順位が下がりにくい。更新頻度よりも中身の質
新しい記事を頻繁に出すことより、「古いけど正確で必要な情報」が優先されることもある。検索意図との相性
とくに病院や地域情報では、ユーザーが「いつ見ても変わらない信頼できる情報」を求めるため、古いサイトが有利になりやすい。Googleアルゴリズムは、「今だけ」ではなく「長期的に安定して役立っているか」を重視します。そのため古いサイトでも、正確で地域に根ざした情報を提供し続けていれば、高い評価を得やすいのです。
POINT
一方で、新しいサイトが勝つためには、この「長期的評価」を短期間で補う工夫が必要です。例えば、信頼できる外部評価の獲得、ユーザー体験の改善、検索意図に最適化した網羅的コンテンツなどです。
ここまで解説したように、古いサイトが検索上位に残る背景には「地域密着性」「E-E-A-T」「テクニカルSEOの基礎」「外部リンク」「競合状況」「Googleアルゴリズムの特性」といった多面的な要素があります。
その上で、今から新しいサイトやリニューアルを行う場合には、次のポイントを押さえることが重要です。
ローカルSEOを徹底する
Googleビジネスプロフィールを最適化し、地域名+サービスで検索されたときに確実に候補に入る状態をつくる。専門性と信頼性を強化する
医師・スタッフ紹介や実績ページ、患者の不安を解消するFAQコンテンツを整備する。テクニカルSEOを最新基準に合わせる
モバイル表示・ページ速度・SSL・構造化データなどを最適化し、Googleに正しく評価されやすい土台を整える。地域に根ざした外部評価を獲得する
地元メディア、ポータルサイト、商工会などから自然なリンクを増やす。競合調査を継続的に行う
地域の競合サイトの動向を観察し、自社の優位性を見極めながら戦略を調整する。中身の質を優先する
更新頻度よりも「正確で役立つ情報」を提供することを最優先にする。古いサイトが検索結果で強いのは、単に放置されているからではなく、Googleが「長期的な信頼性」「地域に根ざした評価」「安定した利用実績」を重視しているからです。 つまり、新しいサイトでも アルゴリズムが重視する基準を意識し、最新のSEO対策を取り入れることで十分に競合に勝てるのです。
とはいえ、SEOは要素ごとの足し算ではなく、「ユーザーにとって本当に使いやすく信頼できるサイトか」という総合力で決まります。自社だけで判断するのが難しい部分も多いため、専門的な視点での調査や戦略立案が大きな差を生みます。
私たちスイッチでは、
といったご相談を承っています。
「SEOで競合に負けないサイトにしたい」「古いサイトを刷新して集客力を高めたい」とお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。課題を丁寧にヒアリングし、最適な解決策をご提案いたします。
この記事を書いたスタッフ
SUICH WEBデザイナー
KURIBAYASHI
2021年10月に2人目のWEBデザイナーとして入社。
前職は同様にHP制作会社で、デザイナーながらWEBならではの戦略やSEO対策などに意欲的で、のべ500件ほど、幅広いクライアント様を担当致しました。特に集客特化であるランディングページを得意としています。